
大規模ERP導入で私が最も重視していること
私はこれまで、酒類・飲料・食品・化粧品業界を中心に、多くのシステム導入やERP刷新プロジェクトに携わってきました。
ERP導入は、企業にとって非常に大きな変革です。
対象となる業務範囲も広く、
・販売
・購買
・生産
・物流
・会計
など、多くの部門が関わります。
また、
・経営層
・現場部門
・情報システム部門
・ベンダー
など、多くの関係者が参加します。
そのため、「ERP導入で最も重要なことは何ですか」という質問をいただくことがあります。
プロジェクト管理でしょうか。要件定義でしょうか。システム選定でしょうか。もちろん、どれも重要です。
しかし、私が最も重視しているのは別のことです。
それは、業務に対する共通認識をつくることです。
ERPは全社共通の仕組みである
ERPは、特定の部門だけが利用するシステムではありません。
企業全体の業務を支える基幹システムです。
そのため、
・営業部門の考え方
・生産部門の考え方
・管理部門の考え方
が一致していなければ、プロジェクトは前に進みません。
ところが実際には、同じ業務について話しているつもりでも、部門ごとに認識が異なることがあります。
ERP導入では、この認識の違いを整理することが欠かせません。
システムの問題ではなく業務の問題であることが多い
ERP導入プロジェクトでは、システム要件の議論をしているように見えて、実際には業務要件の議論をしていることが少なくありません。
例えば、
・誰が入力するのか
・どのタイミングで処理するのか
・どの部門が責任を持つのか
といった論点です。
これらはシステムの問題ではなく、業務の問題です。
そのため、業務に対する共通認識がなければ、システム要件も決まりません。
共通認識がないと要件定義が進まない
要件定義で苦労する企業の多くは、システム要件が整理できていないのではなく、業務に対する認識が揃っていないことがあります。
例えば、
・ある部門は標準化したい。
・別の部門は現状維持を望んでいる。
この状態では、システム要件を議論しても結論が出ません。
だからこそ、私はシステムの前に業務を整理することを重視しています。
業務フローは共通認識を作るための手段
そのために活用しているのが業務フローです。
業務フローを作成すると、
・現状業務が見える
・課題が見える
・部門間の違いが見える
ようになります。
そして、「現状はこうなっている」、「将来はこうしたい」という議論ができるようになります。
業務フローは図を作ることが目的ではありません。
関係者の共通認識を作ることが目的なのです。
最終的に成功を決めるのは人である
ERP導入では、
・システム
・プロセス
・データ
が重要だと言われます。
私もその通りだと思います。
しかし、そのすべてを決め、運用し、改善していくのは人です。
だからこそ、関係者が同じ方向を向き、同じ目標を共有し、共通認識を持つことが重要になります。
私は、これこそがERP導入成功の土台だと考えています。
まとめ
大規模ERP導入で私が最も重視していることは、最新のシステムでも、高度な機能でも、複雑なプロジェクト管理手法でもありません。業務に対する共通認識をつくることです。
業務を理解し、課題を共有し、目指す姿を明確にする。その上でシステムを活用する。
この順番で進めることで、ERP導入は単なるシステム刷新ではなく、企業変革につながります。
私はこれまでの経験を通じて、ERP導入の成否を分けるのはシステムではなく、人と業務であると感じています。
だからこそ、これからも業務起点で考えることを大切にしていきたいと思います。

