
DXやシステム導入を進める際、多くの企業が次の順序で検討を始めます。
・まずシステムを選ぶ
・次に導入計画を立てる
・その後、業務を調整する
一見すると合理的に見えます。しかし、この順序で進めるほど、プロジェクトは難しくなります。なぜなら、DXの難易度を決めるのはITではなく、業務構造だからです。
1.業務整理を後回しにすると起きること
実務では、次の現象が高確率で起きます。
・要件追加が増える
・例外処理が増える
・カスタマイズが増える
・運用負荷が増える
そして最終的に、「想定よりコストがかかった」という結果になります。
2.なぜ企業は業務整理を後回しにしてしまうのか
理由は非常に現実的です。
(1)理由①:業務整理は“痛み”を伴う
・業務をやめる必要がある
・役割が変わる
・部門間調整が必要
(2)理由②:IT導入の方が進めやすい
・スケジュールが立てやすい
・成果が見えやすい
・説明しやすい
(3)理由③:責任範囲が明確
ITプロジェクトは担当部門が明確です。業務改革は組織横断になります。
3.業務整理を後回しにすると増える「見えないコスト」
ここが最も重要なポイントです。
(1)見えないコスト①:設計複雑化コスト
例外処理・個別仕様増加
(2)見えないコスト②:運用コスト
手作業補完・二重管理
(3)見えないコスト③:将来改修コスト
アドオン維持・改修難易度上昇
4.成功している企業の順序
成果を出している企業は、順序が逆です。
(1)業務棚卸
(2)業務廃止判断
(3)業務標準化
(4)IT選定
5.非常に重要:「業務を減らす」ことがDX
DXは、業務をデジタル化することではなく、不要業務をなくすことから始まります。
6.業務整理を成功させる3つの質問
(1)この業務は本当に必要か
(2)この業務は標準化できるか
(3)この業務は差別化要素か
7.業務整理をしないDXが直面する将来
短期:
・導入はできる
中期:
・使われなくなる
長期:
・再構築が必要になる
8.DXを成功させる企業の共通点
・業務を疑う文化
・標準化を受け入れる文化
・例外を減らす意思
9.まとめ
DXの成否は、ITではなく、業務整理のタイミングで決まります。
DX推進においては、IT導入と同時に業務整理を行うのではなく、業務構造を整理した上でITを適用することが重要です。こうした整理を行うことで、DX推進の再現性を高めることにつながります。

